RACING
ROUND1 SUZUKA-CIRCUIT
4月27日(日曜日)天候 晴 路面 ドライ
ランサーエボリューションX開幕デビュー!

IMG_5219.jpg

 グランドスタンドに陣取った赤い軍団から歓声があがった。2008年のスーパー耐久シリーズ開幕戦・鈴鹿ラウンド。遂に三菱ランサーエボリューションXがサーキットフィールドへとその勇姿を見せたのだ。


昨シーズン、ST2クラスとして史上初の総合優勝を皮切りに全勝チャンピオンという偉業を成し遂げたオーリンズ・ランサーは、2008年エボリューションXに進化。黄色と青のカラーリングこそ不変ながら、精悍さを増したスタイリングは注目の的。そして新開発の4B11型エンジン、更なる進化を遂げた電子制御デバイスなどに支えられた走りの実力に、応援団の期待が高まっていく。

金曜日の練習走行ではマイナートラブルが頻発したが、メカニックの尽力によってトラブルシューティングが完璧に行われ、土曜日の予選では僅差のクラス4位/総合11番手グリッドを獲得した「オーリンズ・ランサーEVO」。
中谷明彦選手と木下隆之選手も、エボリューションXが持つ高いポテンシャルに確実な手応えを感じながら迎えた開幕戦の決勝レースは500kmで競われる。

IMG_2815.jpg

しかしデビュー戦ということで不安要素が全く無いわけではない。特に金曜日はマイナートラブル発生のために思うような走り込みを出来ておらず、そのため燃費などレースを戦う上で必要なデータを全く採れていない状況だったのだ。

500kmの決勝、ピットストップ回数は燃費の関係で2回が基本。ただし、これは走行距離をほぼ均等に三分割して戦えた場合であり、もし万が一どこかのスティントで計算が狂うと3回ピットを余儀なくされる可能性も生じるのである。

好天に恵まれた鈴鹿サーキットは予想以上の陽気。暑さはドライバー、そしてマシンにとって過酷な戦いを強いる見えない敵である。整然とスターティンググリッドに並んでいた34台のマシンはローリングラップを経てホームストレートに戻ってくると、爆音とともに過酷な戦いへと旅立って行った。

 

IMG_6828.jpg

 グリーンシグナル点灯とともに好スタートを切った中谷選手は次々に先行車をパス、3周目には2番手のポジションに浮上した。
クラスポールからスタートした6号車ランサーは先行逃げきり体制を構築するかと思われたが思ったようにペースが上がらないようで、10周を終える頃には2秒差にまで中谷選手が詰め寄り射程圏内に捕らえる。

ところが17周目の130R、勢い余ったか縁石をまたいだ瞬間にブレーキダクトが脱落するアクシデント。「オーリンズ・ランサーEVO」はダクトを後方に引きずりながらの走行となってしまった。
数周に渡って走行を続けたものの、オフィシャルから修復を命じるオレンジディスク旗が22周目に提示されてしまった。この旗が提示されると該当車両は速やかにピットインして破損箇所を修復しなければペナルティの対象とされてしまう。

IMG_7767.jpg

23周目にピットインすると引きずっていたダクトを取り外し修復を完了。しかしこのタイミングでのピットインは作戦の変更を強いるものだった。ここで燃料補給を行っても、結果的には合計3回の給油をしなければチェッカードフラッグまで走りきれないのである。

そこでチームは想定していた3回ピット作戦に変更、燃料を満タン給油してタイヤはフロントのみを交換、ドライバーは中谷選手が引き続きステアリングを握って2スティント目に突入した。

中谷選手は1回余分に必要となるピットストップ分をコース上で取り返すという使命を帯びての走行となった。ただでさえ鈴鹿サーキットはピットロードが長く、1回多くストップすることは勝負権を失うに等しい。ただし、それはあくまでも一般論に過ぎないことを中谷選手の走りが証明してくれることになる。

進化したS-AWCをはじめとしたランサーエボリューションXが持てるパフォーマンスを最大限に発揮した中谷選手の走りは自らのポジションを着実にアップさせていった。
そして、ST2クラスの上位全車が1回目のピットを終えた段階で2番手、35周目には先行する6号車をパスして遂にトップの座に躍り出たのである。

 

IMG_5250.jpg

だが、これはあくまでも暫定のトップ。

そう、「オーリンズ・ランサーEVO」は他のチームよりも1回多くピットインしなければならないのだから。
しかし、52周目に2回目のピットインでステアリングを受け継いだ木下隆之選手も、渾身の走りを披露。このピットストップではドライバー交代の他には燃料給油こそ行ったものの、タイヤは1回目同様にフロントのみ交換で停車時間を短縮。そう、リアタイヤはスタートの段階から無交換で走りきっているのだ。

中谷選手木下選手のリレーは着実にマージンを拡げ、75周目には55秒となった。77周目、3回目のピットインで燃料補給のみを行って戦列に復帰する「オーリンズ・ランサーEVO」。2番手の37号車ランサーより8秒前でコースに復帰、残り6周で快走を続ける姿に誰もがエボリューションXのデビューウィンを信じて疑わなかった次の瞬間。

ピットのモニターに砂煙をあげて停車している「オーリンズ・ランサーEVO」が映し出されると、歓喜の声は悲鳴に変わった。ST1クラス車両が追い抜きざまに、まさかの接触。幸いにコースに復帰した「オーリンズ・ランサーEVO」だったが、この間に37号車ランサーが先行、立場は一転した。

IMG_4669.jpg

結果、2番手でデビュー戦のチェッカードフラッグを受けた「オーリンズ・ランサーEVO」。
表彰台では2位と3位をエボリューションIXが占めて、確実に時代が移り変わっていることを証明した。

幻の勝利となってしまった開幕戦。
悔しさの残る一戦となってしまったが、ドライバーもチームスタッフも周りが意外に思うほどその表情は晴れやかなものだった。

過去のリポート


Copyright Test And Service, 2008. All rights reserved.