RACING
ROUND2 SENDAI HI-LAND
5月18日(日曜日)天候 晴 路面 ドライ
ランサーエボリューションX 初優勝!
 

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杜の都として知られる宮城県仙台市
第2戦の舞台となった仙台ハイランドレースウェイは例年よりも3週間遅くシリーズ第2戦でカレンダーに組み込まれたこともあり、周囲の新緑の鮮やかに映える中、暖かな青空の下で500kmの決勝レースが行われた。

開幕デビュー戦、チェッカー直前までトップを走り、ポテンシャルの高さを知らしめた「オーリンズ・ランサーEVO」。このマシンをプロデュースする私たちテストアンドサービスにとって、仙台ハイランドは実に1998年以来実に10年連続で優勝を独占し続けている相性の良いサーキットである。それだけにエボリューションX初優勝にファンが寄せる期待も大きく、心強い多くの皆さんのご声援を背に受けて「オーリンズ・ランサーEVO X」は決勝スターティンググリッドへと進んでいった。

前日の公式予選ではクラス2番手/総合7位のグリッドを得ている「オーリンズ・ランサーEVO」。グリッドで前に陣取っているのは開幕戦に続いてポールを奪った6号車ランサー、その前方には2台のBMWと2台のフェアレディZ、そして1台のポルシェというST1クラス勢のテールが見える。

 

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F1なども開催される国際公認サーキットに比べて、圧倒的に観戦しているファンとの距離が近い仙台ハイランド。先頭のマーシャルカーが動き出し、整然と並んでいた26台の隊列が崩れローリングラップ開始。中谷明彦選手の視界にもスタンド席、そしてコースサイドでエボXに声援を贈ってくれるファンの姿が飛び込んでくる。

マーシャルカーが先頭を離れ、総合ポールポジションのBMWを先頭に隊列が最終コーナーをターンしてストレートに戻ってくる。赤く灯っていたシグナルが消えてグリーンランプが点灯すると耳には勇ましいエギゾーストノートが届き、長い戦いがいよいよスタート。

仙台ハイランドは世界的にも珍しい左周りのコース、右左と続くコーナーをリズミカルにクリアしていく「オーリンズ・ランサーEVO」は、オープニングラップで早々に6号車ランサーをパスしてクラストップの座を奪い取る。

 

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ところで仙台ハイランドと言えば、タイヤの摩耗に厳しいコースとしても広く知られている。
また今回の決勝は500kmで競われるが、エボリューションXは燃費的に総走行周回を均等に三分割した2ストップがギリギリ可能というライン、場合によっては3ストップの可能性もある。
そこでチームとしては事前に2ストップと3ストップの両方を念頭に置いた「2本立て作戦」で決勝に臨んでいたのである。

クラストップに立った中谷選手は着実に後続とのマージンを拡大。21周目に2番手の6号車がトラブルでピットガレージにマシンを入れると、代わって2番手になった20号車ランサーとの差は約13秒。しかし、その差が約15秒拡がったに38周終了時点でチームは1回目のピットインを決断する。

ピットに滑り込んできた「オーリンズ・ランサーEVO X」。待ち受けたメカニックがタイヤ4本交換とガソリン補給を手早く行い、ドライバーを木下隆之選手に交代して戦線へと復帰した。
そして外したタイヤを見てスタッフは驚きの表情を隠せなかった。タイヤは4本ともに限界まで摩耗していたのである。それだけなら摩耗に厳しい仙台ゆえ驚くことはない。そんな限界摩耗直前のタイヤで、ピットイン直前まで中谷選手のマークしていたレースラップは落ち込みを見せていなかったのである。

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これは一体どういうことなのか。
全周回のタイムを記録しているラップチャートを見ても、スタートから10周目のタイムが1分56秒24、そしてピットイン直前の37周目のタイムは1分56秒90。
タイヤの摩耗状態を考えると、37周目のタイムは驚
異的なものなのである。
このタイムをマークできる理由こそ、ランサーエボリューションXが搭載している電子制御システムの働きである。タイヤの摩耗が進めばグリップが低下してスリップを誘発する。そのスリップを検知すると駆動力配分やブレーキ圧を各輪最適制御することで、ラップタイムの落ち込みをカバーしているのである。もちろんこのシステムは特別なレース仕様のものではない。誰もが購入できる三菱ランサーエボリューション?に装着されているシステムそのものなのだ。

 

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そして勿論、卓越した二人のドライバーのテクニックについても語らないわけにはいかないだろう。
ランサーを知り尽くした中谷選手と木下選手は、電子制御の効力を最大限有効に使いながらマシンを操っていく。中谷選手は1スティント目の走行で3ストップ作戦も念頭に置き、マージンを稼ぎつつも燃費やタイヤライフをも労る走りを実践していたのだ。

ステアリングを中谷選手から引き継いだ木下選手も同様に、ランサー使いらしい走りをコースサイドで視線を送るファンに披露していく。


さてレースは49周目に開幕戦で優勝した37号車ランサーにトラブルが襲いかかり、上位争いを展開する顔ぶれが絞られていく。
既に1回目のピットインが想定より2周早いタイミングとせざるを得なかったためにチームは3回ピットストップ作戦を実践に移しており、木下選手はライバル勢よりも1回多くなるピットストップに要する分の時間を稼ぐ走りに徹していた。もちろん速さのみならず、燃費やタイヤへの配慮も求められる上でのマージン確保という難しい仕事である。

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レースが折り返しを過ぎた70周目、「オーリンズ・ランサーEVO」が2回目のピットイン。直前の後続に対するマージンは約30秒だったが、ピットイン回数の差によりこのタイミングで20号車ランサーが先行して暫定トップとなる。「オーリンズ・ランサーEVO X」はタイヤ4本交換と燃料補給を行い、ドライバーは木下選手が2スティント連続でステアリングを握る。

コースに復帰した時点で先行した20号車ランサーとの差は約40秒。木下選手はじわりじわりとその差を詰めていき、10周ほどで差を30秒とした。そして83周で20号車ランサーが2回目のピットイン。やはりタイヤの摩耗に厳しいコースであるのはどのチームも同じ、20号車もタイヤを4本とも全て交換して燃料補給などの作業を進めていく。ただ、あくまでも遠くから見た印象であるが、少し作業に手間取って時間をロスしたようでもあった。

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レースはいよいよ終盤に突入。
各クラスで激しい接近戦が展開される中、ST2クラスの優勝争いもいよいよヤマ場を迎えることになる。
90周目を過ぎるころにはピットの空気が緊張感で張りつめていた。既にメカニックは3回目のピットインに備えて準備を完了している。
タイミングモニターを前にドライバーと交信する山田監督の指示が飛び、サインガードでボードを出していたメカニックがピットへと戻りタイヤ交換の準備に入る。
マシンの先頭に立ってピット作業を指揮する稲葉チーフメカニックが一言「ピット作業の勝負だな」と呟く。20号車ランサーに対するマージンは約90秒、仙台ハイランドはピットレーンの距離こそ短いものの40km/h制限とされている。
ピットインの警告音が響き、「オーリンズ・ランサーEVO X」のフロントフェイスがピットレーン入口に見える。ピットに滑り込んだマシンを取り囲むメカニック、残り周回を計算して秒単位で燃料を補給、フロントタイヤのみを手早く交換すると、ドライバーを中谷選手に交代してコースイン。最終コーナーを立ち上がってきた20号車ランサーの直前でコースに復帰した「オーリンズ・ランサーEVO X」はタイヤが温まり切っていないアウトラップでも電子制御のバックアップもあって20号車の先行を許さず。

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西に傾きはじめた眩しい太陽の下で振られたウィニングチェッカーを受けた「オーリンズ・ランサーEVO 」。デビュー2戦目にして初優勝を獲得、仙台ハイランドでのチームとしての連勝記録を「11」に伸ばした中谷明彦選手と木下隆之選手。
そして決して名前が広く知られることはないものの、ドライバーと同様にコンマ1秒を削る戦いをピットで演じたメカニック達。
改めて三菱ランサーエボリューションXのポテンシャル、そしてチームとしての総合力の高さを実証した一戦となった。

 

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